「立ち上がる時に力が入りにくい」
「歩く距離が短くなってきた」
「座っている姿勢が崩れやすい」
「呼吸や飲み込みが心配」
このような症状がある場合、**脊髄性筋萎縮症(SMA)**という病気が関係していることがあります。
脊髄性筋萎縮症は、筋肉を動かす神経の働きが弱くなることで、筋力低下や筋萎縮がみられる病気です。
小児期に診断されることが多い病気ですが、病型によっては成人になってから症状が目立つ場合もあります。
この記事では、脊髄性筋萎縮症(SMA)の特徴や生活で困りやすいこと、リハビリで大切なポイントについてわかりやすく解説します。
脊髄性筋萎縮症(SMA)とは?
脊髄性筋萎縮症は、英語で Spinal Muscular Atrophy といい、略して SMA と呼ばれます。
SMAは、脊髄にある「運動神経細胞」の働きが低下することで、筋肉へうまく指令が伝わりにくくなり、筋力低下や筋萎縮が起こる病気です。
筋肉そのものだけの病気ではなく、筋肉を動かす神経に関係する病気です。
症状の出る時期や重症度によって、いくつかのタイプに分けられます。
代表的には、
乳児期に発症するタイプ
小児期に発症するタイプ
歩行が可能な状態で経過するタイプ
成人期に症状が目立つタイプ
などがあります。
症状の出方は一人ひとり異なりますが、共通して大切なのは、筋力低下だけでなく、呼吸、飲み込み、姿勢、関節の硬さ、生活動作まで含めて支援していくことです。
近年はSMAに対する治療薬も使われるようになっていますが、治療だけでなく、日常生活を支えるリハビリや環境調整もとても重要です。
脊髄性筋萎縮症で起こりやすい症状
■① 筋力低下・筋萎縮がみられる
SMAで中心となる症状は、筋力低下と筋萎縮です。
特に、
太もも
腰まわり
体幹
肩まわり
首まわり
など、体を支える筋肉に力が入りにくくなることがあります。
そのため、
立ち上がりにくい
歩きにくい
階段が大変
長く歩くと疲れる
姿勢を保ちにくい
腕を上げにくい
といった困りごとにつながります。
子どもの場合は、運動発達の遅れとして気づかれることがあります。
成人の場合は、「以前より疲れやすい」「歩く距離が短くなった」「転びやすくなった」といった変化から気づくことがあります。
■② 立つ・歩く・移動が大変になる
SMAでは、足や体幹の筋力低下によって、立つ・歩く・移動する動作が大変になることがあります。
例えば、
床から立ち上がりにくい
椅子から立つ時に手を使う
歩くと体が左右に揺れる
階段や坂道がつらい
長距離歩行で疲れやすい
転倒が不安になる
といった状態です。
歩ける方でも、無理に歩き続けることで疲労が強くなり、生活全体の活動量が低下することがあります。
歩くことだけにこだわるのではなく、歩行補助具、装具、車いすなどを必要に応じて活用し、「できることを長く続ける」視点が大切です。
■③ 姿勢が崩れやすく、関節が硬くなる
SMAでは、体幹や背中の筋肉が弱くなることで、座っている姿勢が崩れやすくなることがあります。
姿勢が崩れると、
長く座っていられない
食事がしにくい
手が使いにくい
呼吸がしにくい
首や肩が疲れやすい
といった困りごとにつながります。
また、筋力低下によって関節を動かす機会が減ると、関節が硬くなる「拘縮」が起こりやすくなります。
特に、
足首
膝
股関節
肩
肘
手首
背中
などは注意が必要です。
関節が硬くなると、立つ・歩く・座る・着替える・介助を受けるといった動作が難しくなるため、早めの予防が大切です。
■④ 呼吸や飲み込みに影響することがある
SMAでは、呼吸に関わる筋肉や、飲み込みに関わる筋肉に影響が出ることがあります。
呼吸の力が弱くなると、
深く息を吸いにくい
咳が弱い
痰を出しにくい
風邪をひいた時に悪化しやすい
夜間に呼吸が浅くなる
疲れやすい
といった問題につながることがあります。
また、飲み込みにくさがある場合は、
食事中にむせる
食べるのに時間がかかる
体重が減る
食事で疲れる
水分でむせやすい
といった変化がみられることがあります。
呼吸や飲み込みの問題は、生活の質だけでなく体調管理にも関わるため、早めに医療機関へ相談することが大切です。

生活で困りやすいこと
■① 移動や外出が負担になる
SMAでは、歩行や移動にエネルギーを使いやすくなります。
そのため、
通学や通勤
買い物
通院
駅やバス停までの移動
長い廊下の移動
坂道や階段
などが負担になりやすいです。
外出を続けるためには、無理に歩く距離を伸ばすだけでなく、車いすや歩行補助具を上手に使うことも大切です。
補助具を使うことは「できなくなった証拠」ではなく、生活範囲を広げるための手段です。
■② 座る姿勢や作業がつらくなる
座っている姿勢が崩れやすいと、食事、勉強、仕事、趣味、パソコン操作などが大変になります。
特に、
背中が丸くなる
体が左右に傾く
頭が支えにくい
肩や首が疲れる
手が使いにくい
車いすで疲れやすい
といった状態がみられます。
座位姿勢が整うと、呼吸がしやすくなったり、手を使いやすくなったり、食事や会話が楽になることがあります。
■③ 家族の介助負担が増える
筋力低下や姿勢の崩れが進むと、家族の介助が必要になる場面が増えることがあります。
例えば、
起き上がり
立ち上がり
車いすへの移乗
トイレ
入浴
更衣
外出
食事の準備や介助
などです。
本人だけでなく、介助する側にも負担がかかりやすいため、安全な介助方法や福祉用具の活用を早めに考えることが大切です。
■④ 呼吸や体調の変化に不安が出る
SMAでは、呼吸の弱さや疲れやすさが生活に影響することがあります。
風邪をひいた時、痰が出しにくい時、夜間の呼吸が気になる時などは、不安が強くなりやすいです。
また、疲労が強いと、動く意欲が低下したり、食事量が減ったりすることもあります。
体調の変化を見逃さず、医療機関やリハビリ専門職と相談しながら、生活のペースを整えていくことが大切です。
治療とリハビリの考え方
SMAでは、医療機関での診断と治療が大切です。
近年は、SMAに対する治療薬が使われるようになっており、病型や年齢、身体の状態に応じて治療が検討されます。
一方で、治療薬だけで生活上の困りごとがすべて解決するわけではありません。
SMAでは、筋力低下、関節拘縮、姿勢の崩れ、呼吸、飲み込み、移動、介助方法など、生活全体を見ながら支援していく必要があります。
リハビリでは、
筋力や運動機能の評価
関節拘縮の予防
姿勢や座位の調整
呼吸を守るための支援
装具や車いすの活用
生活動作の工夫
家族への介助方法の提案
などを行います。
大切なのは、「無理に鍛える」ことではなく、体に負担をかけすぎず、その人に合った方法で生活機能を保つことです。

脊髄性筋萎縮症のリハビリで大切なこと
■① 疲れすぎない運動量に調整する
SMAでは、筋力低下があるからといって、強い負荷で鍛えればよいわけではありません。
無理をしすぎると、疲労が強く残り、日常生活に影響することがあります。
リハビリでは、
疲れが翌日に残らないか
息切れが強くないか
動作後に姿勢が崩れないか
食事や生活動作に支障が出ないか
体調が悪い日に無理をしていないか
を確認しながら運動量を調整します。
「頑張る運動」ではなく、「生活を続けるための運動」として、無理のない範囲で続けることが大切です。
■② 関節拘縮を予防するストレッチ
SMAでは、筋力低下によって関節を十分に動かす機会が減り、関節が硬くなりやすくなります。
関節が硬くなると、
立ち上がりにくい
座位姿勢が崩れやすい
車いすに座りにくい
着替えがしにくい
介助が大変になる
といった問題につながります。
リハビリでは、痛みのない範囲でゆっくり関節を動かし、拘縮や変形を予防します。
本人だけでなく、ご家族が安全にサポートできる方法を確認することも大切です。
■③ 姿勢・座位・シーティングを整える
SMAでは、姿勢を保つ筋肉が弱くなることで、座位姿勢が崩れやすくなります。
リハビリでは、
椅子の高さ
車いすの座面
背もたれ
クッション
ヘッドサポート
足台
体幹の支え
などを確認し、楽に座れる姿勢を整えます。
座位姿勢が整うことで、
呼吸がしやすい
食事がしやすい
手が使いやすい
疲れにくい
外出しやすい
といった効果が期待できます。
「長く快適に座れる姿勢」をつくることは、生活の質を高めるうえでとても重要です。
■④ 呼吸を守るためのリハビリ
SMAでは、呼吸に関わる筋肉の弱さに注意が必要です。
リハビリでは、
呼吸しやすい姿勢の確認
胸郭の動きの確認
痰を出しやすくする工夫
咳を助ける方法
体位変換
呼吸器感染時の注意点
などを確認します。
痰が出しにくい、息苦しさがある、夜間の呼吸が気になる、風邪をひくと長引くといった場合は、必ず医療機関に相談しましょう。
呼吸のケアは、SMAの生活支援の中でも特に重要なポイントです。
■⑤ 装具・車いす・福祉用具を活用する
SMAでは、歩行補助具や装具、車いす、福祉用具を上手に使うことで、生活のしやすさが大きく変わることがあります。
例えば、
短距離は歩く
長距離は車いすを使う
足首の不安定さに装具を検討する
入浴にはシャワーチェアを使う
トイレには手すりや補高便座を使う
ベッドまわりには移乗しやすい環境を整える
などです。
道具を使う目的は、「できないことを補う」だけではありません。
疲労を減らし、安全に動き、できることを長く続けるために活用します。
■⑥ 食事・飲み込み・手の使いやすさを整える
SMAでは、病型や進行によって、食事や飲み込み、手の使いにくさが問題になることがあります。
例えば、
食事中にむせる
食べるのに時間がかかる
コップを持ちにくい
箸やスプーンが使いにくい
書字やパソコン操作が疲れる
スマートフォンが使いにくい
といった困りごとです。
リハビリでは、
食事姿勢
食器の工夫
自助具の活用
手の使い方
パソコンやスマートフォンの入力方法
疲れにくい作業環境
などを検討します。
生活の中で「やりたいこと」を続けるために、道具や環境を調整することが大切です。
自宅で気をつけたいポイント
■① 疲労が残る活動を続けすぎない
自宅では、活動後の疲れ方を確認しましょう。
翌日まで強い疲れが残る
食事量が減る
息切れが強い
姿勢が保てなくなる
動作がいつもより大変になる
といった場合は、活動量が多すぎる可能性があります。
無理に頑張り続けるのではなく、休憩を入れながら生活全体のバランスを整えましょう。
■② 座る環境を見直す
座っている姿勢は、呼吸、食事、手の使いやすさに大きく関係します。
自宅では、
椅子の高さ
背もたれ
クッション
足の位置
テーブルの高さ
車いすの姿勢
を見直しましょう。
姿勢が崩れている場合は、自己流で調整するよりも、リハビリ専門職に相談することがおすすめです。
■③ 呼吸・食事・体重の変化を記録する
SMAでは、少しずつ体調や生活動作に変化が出ることがあります。
次のような内容を記録しておくと、医療機関やリハビリで相談しやすくなります。
息切れ
咳の弱さ
痰の出しにくさ
睡眠中の呼吸
食事中のむせ
食事にかかる時間
体重の変化
疲れやすさ
転倒やヒヤリとした場面
小さな変化を早めに把握することが、安心した生活につながります。
こんな時は専門家へ相談を
以下のような変化がある場合は、早めに相談しましょう。
立ち上がりにくくなった
歩く距離が短くなった
階段や坂道がつらくなった
転倒やつまずきが増えた
座っている姿勢が崩れやすい
関節が硬くなってきた
車いすや装具を検討したい
疲労が翌日まで残る
息切れしやすい
咳が弱く、痰が出しにくい
食事中にむせる
体重が減ってきた
家族の介助負担が増えてきた
自宅での動作が不安になってきた
SMAでは、筋力だけでなく、呼吸、飲み込み、姿勢、生活環境を含めて相談することが大切です。
京都でリハビリを検討している方へ
エール神経リハビリセンター伏見では、
脊髄性筋萎縮症による筋力低下
立ち上がりや歩行の不安
座位姿勢や車いす姿勢の調整
関節拘縮の予防
呼吸しやすい姿勢づくり
食事や手の使いやすさへの対応
装具・車いす・福祉用具の相談
自宅での生活動作の工夫
ご家族への介助方法の提案
などに対して、専門的なリハビリを行っています。
「最近、動作が大変になってきた」
「座っている姿勢が崩れやすい」
「無理のないリハビリ方法を知りたい」
「今の状態に合ったリハビリを受けたい」
という方は、お気軽にご相談ください。
よくある質問
Q. 脊髄性筋萎縮症(SMA)とはどんな病気ですか?
A. SMAは、筋肉を動かす運動神経細胞の働きが低下することで、筋力低下や筋萎縮が起こる病気です。症状の出る時期や進行の程度は人によって異なります。
Q. SMAではリハビリが必要ですか?
A. はい。リハビリは、病気そのものを治すためではなく、関節の硬さを予防する、姿勢を整える、呼吸を守る、生活動作を続けやすくするために大切です。
Q. SMAでは運動してもよいですか?
A. 運動は大切ですが、無理に強く鍛えることはおすすめできません。疲労や息切れ、日常生活への影響を確認しながら、主治医やリハビリ専門職と相談して行いましょう。
まとめ
脊髄性筋萎縮症(SMA)は、
筋力低下や筋萎縮がみられる
立つ・歩く・移動が大変になる
姿勢が崩れやすい
関節が硬くなりやすい
呼吸や飲み込みに影響することがある
生活動作や介助方法の工夫が必要になる
といった特徴がある病気です。
リハビリでは、
👉 疲れすぎない運動量に調整する
👉 関節拘縮を予防する
👉 姿勢・座位・シーティングを整える
👉 呼吸を守るためのケアを行う
👉 装具・車いす・福祉用具を上手に活用する
👉 食事や手の使いやすさにも目を向ける
ことが大切です。
SMAでは、筋力だけでなく、呼吸、姿勢、食事、移動、家族の介助まで含めて、その人に合った生活支援を考えていくことが重要です。
京都で脊髄性筋萎縮症のリハビリを検討されている方は、エール神経リハビリセンター伏見の特別体験をご活用ください。
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