「足先が引っかかりやすい」
「歩くと足首がぐらつく」
「膝がカクッと抜けそうになる」
「装具を使うと、歩けなくなった感じがして不安」
神経難病の方では、歩きにくさや転倒予防のために装具を検討することがあります。
装具というと、
「かなり悪くなってから使うもの」
「歩けなくなった人が使うもの」
というイメージを持たれる方もいます。
しかし、装具は歩くことをあきらめる道具ではありません。
足先を上げやすくする、足首を安定させる、膝を支える、疲労を減らすなど、今ある歩く力を活かしながら、安全に生活を続けるための道具です。
この記事では、神経難病で装具を検討するタイミングや、装具を使う時の考え方、リハビリで大切なポイントについてわかりやすく解説します。
神経難病で装具を使う意味とは?
神経難病では、病気の種類や進行によって、足の動かしにくさや歩きにくさが少しずつ変化することがあります。
例えば、
足先が上がりにくい
つま先が床に引っかかる
足首が内側や外側に倒れやすい
膝がカクッと抜ける
膝が伸びすぎる
足がつっぱって歩きにくい
長く歩くと疲れる
転倒が怖くなる
といった状態です。
このような時に装具を使うことで、足首や膝を支え、歩きやすさや安全性を高められる場合があります。
大切なのは、装具を「悪化のサイン」と考えないことです。
装具は、できないことを増やす道具ではなく、できることを長く続けるための道具です。
装具を検討したいタイミング
■① 足先が引っかかりやすい
歩いている時につま先が床に引っかかる場合、足首を持ち上げる力が弱くなっていることがあります。
例えば、
すり足になる
つま先が床に当たる
カーペットにつまずく
小さな段差で足が引っかかる
疲れると足先が上がりにくい
といった状態です。
このような場合、短下肢装具などで足首の位置を支えることで、足先が引っかかりにくくなることがあります。
「まだ歩けるから大丈夫」と思っていても、つまずきが増えている場合は相談のタイミングです。
■② 足首が不安定になる
神経難病では、足首まわりの筋力低下や感覚障害によって、足首が不安定になることがあります。
例えば、
足首が内側に倒れやすい
足首が外側にぐらつく
足をついた時に不安定
靴の片側だけすり減る
立っている時に足元が頼りない
といった状態です。
足首が不安定なまま歩くと、転倒だけでなく、膝や股関節、腰にも負担がかかることがあります。
装具で足首を安定させることで、歩行時の安心感が高まる場合があります。
■③ 膝が不安定になる
歩いている時に膝が不安定になる場合も、装具を検討するタイミングです。
例えば、
膝がカクッと抜ける
膝が伸びすぎる
膝が曲がったまま歩く
階段で膝が不安
立っている時に膝が頼りない
といった状態です。
膝の不安定さは、転倒につながりやすいだけでなく、歩く時に必要以上の力を使う原因にもなります。
膝だけを支えればよいとは限らず、足首や股関節、体幹の状態も含めて確認することが大切です。
■④ 歩くと疲れやすい
装具は、転倒予防だけでなく、疲労を減らす目的でも使われることがあります。
足先が引っかからないように毎回意識して歩いていると、それだけで大きなエネルギーを使います。
また、不安定な足を支えるために、腰や肩に余分な力が入ることもあります。
その結果、
短い距離でも疲れる
外出後にぐったりする
歩くと腰や膝が痛くなる
帰り道で足が出にくくなる
疲れると歩き方が崩れる
といった状態につながることがあります。
装具によって歩行が安定すると、余分な力を使いにくくなり、疲労軽減につながる場合があります。
神経難病で使われる装具の種類
装具にはさまざまな種類があります。
ここでは、神経難病の歩行支援で関係しやすい装具を簡単に紹介します。
■① 短下肢装具
短下肢装具は、足首から足部を支える装具です。
神経難病では、
足先が上がりにくい
つま先が引っかかる
足首がぐらつく
すり足になりやすい
歩くと疲れやすい
といった場合に検討されることがあります。
短下肢装具の中にも、軽量タイプ、しっかり支えるタイプ、足首の動きを調整するタイプなどがあります。
代表的なものとして、
オルトップAFO
SHB
GS・ゲイトソリューション
などがあります。
ただし、今回は種類ごとの詳しい違いではなく、「どのような時に装具を考えるのか」を中心に解説しています。
装具ごとの特徴や違いについては、別記事で詳しく紹介します。
■② 足底板・インソール
足底板やインソールは、足の裏から支える装具です。
足首全体を大きく固定するというよりも、足の接地や荷重のかかり方を整える目的で使われることがあります。
例えば、
足が内側や外側に倒れやすい
立った時のバランスが悪い
靴の片側だけすり減る
足裏の感覚がわかりにくい
足の一部に負担がかかる
といった場合に検討されることがあります。
靴との相性が大切になるため、普段履いている靴も一緒に確認しましょう。
■③ 膝装具
膝装具は、膝の安定性を支える装具です。
神経難病では、筋力低下や筋緊張の変化によって、膝が不安定になることがあります。
例えば、
膝がカクッと抜ける
膝が伸びすぎる
膝が曲がったまま歩く
階段で膝が不安
立っている時に膝が頼りない
といった場合です。
膝の不安定さがあると、転倒リスクが高くなるだけでなく、歩く時に余分な力を使いやすくなります。
膝装具を検討する場合も、膝だけでなく、足首や股関節、体幹を含めて確認することが大切です。
■④ 長下肢装具
長下肢装具は、足首から膝、太ももまでを支える装具です。
短下肢装具よりも支える範囲が広く、膝の不安定さが強い場合などに検討されることがあります。
例えば、
膝折れが強い
立位保持が不安定
足首と膝の両方を支える必要がある
歩行練習で下肢全体の安定が必要
転倒リスクが高い
といった場合です。
長下肢装具は支える力が大きい一方で、重さや動きにくさを感じることもあります。
日常生活で使うことは少なく、リハビリ場面で使うことがメインとなります。使用する際の目的を明確にすることが重要です。

生活で困りやすいこと
■① 靴選びが難しくなる
装具を使う場合、靴との相性がとても重要です。
装具が入らない靴や、かかとが浅い靴、滑りやすい靴では、うまく歩けないことがあります。
確認したいポイントは、
装具が入る幅があるか
かかとが安定するか
靴底が滑りにくいか
重すぎないか
着脱しやすいか
左右の高さが合うか
です。
装具と靴はセットで考えましょう。
■② 見た目への抵抗感がある
装具を使うことに抵抗を感じる方もいます。
「目立つのが嫌」
「悪くなったように感じる」
「周囲にどう見られるか不安」
という気持ちは自然です。
ただし、装具の目的は、歩く力を奪うことではありません。
安全に歩き、転倒を防ぎ、活動を続けるために使うものです。
■③ 皮膚トラブルが起こることがある
装具が合っていないと、赤み、痛み、こすれ、水ぶくれが出ることがあります。
特に、感覚障害がある方は、痛みに気づきにくいことがあります。
装具を外した後は、皮膚の状態を確認しましょう。
赤みが長く残る場合や痛みがある場合は、早めに調整が必要です。
■④ 作った装具を使わなくなることがある
装具を作っても、
重い
歩きにくい
靴に入らない
皮膚が痛い
見た目が気になる
生活場面で使いにくい
と感じると、使わなくなることがあります。
装具は作って終わりではありません。
実際の生活で使えるように、調整や練習を行うことが大切です。
治療とリハビリの考え方
神経難病で装具を検討する場合は、医師、リハビリ専門職、義肢装具士などと相談しながら進めることが大切です。
リハビリでは、
足先が上がるか
足首が安定しているか
膝が抜けないか
膝が伸びすぎていないか
歩幅や歩行速度
方向転換や段差
疲労の出方
靴との相性
皮膚トラブルの有無
生活場面で使いやすいか
などを確認します。
装具を作ることがゴールではありません。
大切なのは、装具を使って、
安全に歩けるか
疲れにくくなるか
生活の中で使いやすいか
外出や活動を続けやすくなるか
を確認することです。
神経難病で装具を使う時に大切なこと
■① 装具の目的をはっきりさせる
まずは、何のために装具を使うのかを整理します。
例えば、
足先を上げやすくしたい
足首を安定させたい
膝折れを防ぎたい
膝の伸びすぎを防ぎたい
疲労を減らしたい
転倒を防ぎたい
などです。
目的がはっきりすると、装具の種類や使う場面を考えやすくなります。
■② 装具をつけた歩き方を練習する
装具は、つけたら終わりではありません。
装具をつけた状態で、
立ち上がる
歩き始める
方向転換する
段差を越える
階段を上り下りする
トイレや玄関で動く
といった練習が必要です。
生活場面で使えるようにすることが大切です。
■③ 靴との相性を確認する
装具が合っていても、靴が合っていないと歩きにくくなります。
装具を使う時は、
靴の幅
かかとの安定性
靴底の滑りにくさ
着脱のしやすさ
左右の高さ
重さ
も確認しましょう。
■④ 皮膚の状態を確認する
装具を外した後は、足や膝まわりに赤みや痛みがないか確認しましょう。
特に、しびれや感覚障害がある方は、痛みに気づきにくいことがあります。
赤みが長く残る場合や、水ぶくれ、強い痛みがある場合は、無理に使い続けず相談しましょう。
■⑤ 定期的に見直す
神経難病では、身体の状態が変化することがあります。
そのため、一度作った装具をずっと同じように使えるとは限りません。
歩き方が変わった
装具が当たって痛い
赤みが出る
以前より疲れる
転倒が増えた
靴が合わなくなった
装具を使わなくなっている
このような場合は、装具の調整や見直しが必要です。
自宅で気をつけたいポイント
■① 装具を使う場面を決める
最初から一日中使う必要はありません。
まずは、
外出時
長く歩く時
疲れやすい時間帯
段差が多い場所
転倒が不安な場面
など、必要な場面から使う方法もあります。
■② 皮膚の赤みを確認する
装具を外した後は、足や膝まわりに赤みや痛みがないか確認しましょう。
赤みが長く残る場合や痛みがある場合は、専門職に相談しましょう。
■③ 靴も一緒に見直す
装具と靴はセットです。
装具が入る靴、滑りにくい靴、脱げにくい靴を選びましょう。
普段の靴だけでなく、外出用の靴、室内用の履き物も確認することが大切です。
こんな時は専門家へ相談を
以下のような変化がある場合は、装具について相談しましょう。
足先が引っかかる
つまずきが増えた
転倒が増えた
足首がぐらつく
膝がカクッと抜ける
膝が伸びすぎる
長く歩くと疲れやすい
靴の片側だけすり減る
杖だけでは不安
装具が痛い
皮膚に赤みが出る
作った装具を使わなくなっている
装具は、合っていないものを無理に使うより、早めに調整することが大切です。
京都でリハビリを検討している方へ
エール神経リハビリセンター伏見では、神経難病、脳卒中後遺症、脊髄疾患の方を対象に、症状や生活環境に合わせたリハビリを行っています。
神経難病の装具に関しては、
歩行状態の確認
足首や膝の安定性の評価
装具の種類や目的の整理
装具を使うタイミングの相談
装具をつけた歩行練習
段差や方向転換の練習
靴や生活環境の確認
ご家族への介助方法の提案
などを行います。
「足先が引っかかる」
「装具が必要か相談したい」
「今の装具が合っているかわからない」
「歩きやすさや転倒予防について相談したい」
という方は、お気軽にご相談ください。
当院では【特別体験】も実施しています。
まずは現在の歩行状態や生活で困っている場面を確認し、その方に合ったリハビリや装具の使い方を一緒に考えていきます。
よくある質問
Q. 装具を使うと歩けなくなりますか?
A. 装具を使ったから歩けなくなるわけではありません。足首や膝を支え、転倒を防ぎながら、今ある歩く力を活かすために使います。
Q. 短下肢装具にはどんな種類がありますか?
A. 代表的なものには、オルトップAFO、SHB、GS・ゲイトソリューションなどがあります。詳しい違いは、症状や歩き方、足首の動き、支える力によって変わるため、別記事で詳しく解説します。
Q. 装具は作ったらずっと同じものを使えますか?
A. 身体の状態や歩き方が変わると、調整や見直しが必要になることがあります。痛み、赤み、歩きにくさがある場合は早めに相談しましょう。
まとめ
神経難病で装具を検討するタイミングは、
足先が引っかかる
足首が不安定になる
膝がカクッと抜ける
膝が伸びすぎる
つまずきや転倒が増える
長く歩くと疲れやすい
といった時です。
装具には、
👉 短下肢装具
👉 足底板・インソール
👉 膝装具
👉 長下肢装具
などがあります。
短下肢装具の中にも、オルトップAFO、SHB、GS・ゲイトソリューションなどの種類がありますが、詳しい違いは別記事で解説します。
装具は、歩くことをあきらめる道具ではありません。
歩く力を活かし、安全に生活を続けるための大切な選択肢です。
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