「まだ歩けるのに車いすを使っていいの?」
「車いすを使うと歩けなくなりそうで不安」
「外出すると疲れが強く残る」
「転倒が怖くて出かける機会が減ってきた」
神経難病の方やご家族から、このような相談を受けることがあります。
車いすというと、「歩けなくなった人が使うもの」というイメージを持たれる方も少なくありません。
しかし実際には、車いすは「歩くことをあきらめる道具」ではありません。
転倒を防ぎ、疲労を減らし、外出や社会参加を続けるための大切な選択肢です。
この記事では、神経難病で車いすを検討するタイミングや、生活での使い分け、リハビリで大切なポイントについてわかりやすく解説します。
神経難病で車いすを使う意味とは?
神経難病では、病気の種類や進行によって、歩きにくさ、疲れやすさ、転倒しやすさが少しずつ変化することがあります。
たとえば、
長く歩くと疲れる
足が上がりにくい
方向転換でふらつく
段差でつまずく
外出後に数日疲れが残る
転倒が怖くて外出を控える
といった変化です。
このような時、車いすを使うことは「悪化のサイン」ではなく、生活を続けるための工夫です。
大切なのは、歩くことを完全にやめるかどうかではありません。
短い距離は歩く。
長い距離は車いすを使う。
体調がよい日は歩く。
疲れやすい日は車いすを使う。
このように、状態や場面に合わせて使い分けることが大切です。
車いすは、できないことを増やす道具ではなく、できることを長く続けるための道具です。

車いすを検討したいタイミング
■① 外出後の疲労が強く残る
神経難病では、歩けていても、外出後の疲労が大きな問題になることがあります。
たとえば、
通院した翌日はぐったりする
買い物の後に数時間休まないと動けない
外出すると翌日まで疲れが残る
帰り道で足が出にくくなる
疲れると転びそうになる
といった状態です。
このような場合、すべてを歩いて行うよりも、長距離移動だけ車いすを使うことで、体力を温存できることがあります。
車いすを使うことで、外出そのものをあきらめずに済む場合があります。
「歩けるかどうか」だけでなく、「歩いた後に生活へ影響が出ていないか」を確認することが大切です。
■② 転倒やつまずきが増えてきた
転倒が増えてきた場合も、車いすを検討する大切なタイミングです。
特に、
段差でつまずく
方向転換でふらつく
疲れると足が上がらない
人混みでバランスを崩す
夜間トイレで転びそうになる
外出中に転倒したことがある
といった場合は注意が必要です。
転倒は、骨折や頭部外傷につながるだけでなく、「また転ぶかもしれない」という不安を強くします。
その結果、外出が減り、体力や気分にも影響することがあります。
車いすは、転倒を防ぐための選択肢の一つです。
特に、人混み、駅、病院、大きな商業施設、長い廊下などでは、車いすを使うことで安全に移動しやすくなる場合があります。
■③ 歩くことに集中しすぎて生活が楽しめない
歩くことに不安があると、外出先でも常に足元や段差ばかり気になってしまうことがあります。
たとえば、
会話を楽しむ余裕がない
景色を見る余裕がない
買い物中も転倒が心配
家族との外出で疲れやすい
目的地に着く前に体力を使い切る
といった状態です。
外出の目的は、歩くことだけではありません。
買い物をする。
家族と出かける。
通院する。
旅行する。
趣味を楽しむ。
その目的を叶えるために、車いすを使うという考え方もあります。
車いすを使うことで、移動に使う体力を減らし、本当にしたいことにエネルギーを残せる場合があります。
■④ 家族の介助負担が大きくなってきた
歩行が不安定になると、ご家族が常に横で支えたり、転ばないように見守ったりする場面が増えます。
たとえば、
外出中ずっと支える必要がある
通院の付き添いが大変
駐車場から病院までの移動が負担
買い物中に休憩場所を探す必要がある
旅行や行事に参加しにくくなる
といったことがあります。
車いすを活用することで、本人の安全だけでなく、家族の身体的・心理的な負担を減らせることがあります。
車いすは本人だけのためではなく、家族と一緒に生活を続けるための道具でもあります。
車いすを使うことで期待できること
■① 外出しやすくなる
歩く距離が負担になっている場合、車いすを使うことで外出のハードルが下がることがあります。
通院、買い物、散歩、旅行、家族行事など、これまで不安だった活動を続けやすくなります。
「歩けないから車いす」ではなく、「外出を続けるために車いす」と考えることが大切です。
■② 疲労を減らせる
長距離を歩くことで疲労が強く出る方では、車いすを使うことで体力を温存できます。
疲れを減らすことで、
帰宅後のぐったり感が減る
翌日に疲れを残しにくい
食事や入浴の余力が残る
会話や趣味を楽しみやすい
家族との外出を続けやすい
といった効果が期待できます。
疲労を減らすことは、生活の質を守るうえで重要です。
■③ 転倒リスクを減らせる
歩行が不安定な場面では、車いすを使うことで転倒リスクを減らせることがあります。
特に、
長い距離
人混み
雨の日
暗い場所
段差が多い場所
疲労が強い日
では、安全のために車いすを使う選択も大切です。
転倒してから考えるのではなく、転倒を防ぐために早めに検討することが重要です。
■④ 活動範囲を広げられる
車いすを使うと、活動範囲が狭くなると思われることがあります。
しかし、実際には逆に、行ける場所が増えることがあります。
たとえば、
大きな病院
商業施設
公園
駅
イベント会場
旅行先
家族行事
など、歩行だけでは難しかった場所へ行きやすくなる場合があります。
車いすは、生活範囲を狭めるものではなく、広げるための選択肢でもあります。
車いすを使う時に大切な考え方
■① 「歩く」と「車いす」を使い分ける
車いすを使うことは、歩くことをやめるという意味ではありません。
たとえば、
自宅内は歩く
近距離は杖で歩く
長距離は車いすを使う
体調が悪い日は車いすを使う
外出先だけ車いすを使う
疲れた時のために持っていく
といった使い分けができます。
「歩くか、車いすか」の二択ではなく、生活場面に合わせて組み合わせることが大切です。
■② 体に合った車いすを選ぶ
車いすは、どれを使っても同じではありません。
体に合っていない車いすを使うと、
座っているだけで疲れる
腰やお尻が痛くなる
姿勢が崩れる
足が床やフットレストに合わない
手でこぎにくい
介助する家族が押しにくい
といった問題が起こることがあります。
車いすを選ぶ時は、座面の幅、奥行き、高さ、背もたれ、クッション、足台、ブレーキ、重さ、折りたたみやすさなどを確認します。
本人の体だけでなく、使う場所や介助する方の負担も含めて考えることが大切です。
■③ 座る姿勢を整える
車いすでは、移動だけでなく座る姿勢も重要です。
姿勢が崩れると、
呼吸がしにくい
食事がしにくい
首や肩が疲れる
腰やお尻が痛い
手が使いにくい
長く座っていられない
といった困りごとにつながります。
リハビリでは、骨盤の位置、背もたれ、クッション、足の位置、テーブルの高さなどを確認します。
「楽に座れる姿勢」を整えることで、外出や食事、会話、作業がしやすくなります。
■④ 車いす操作と移乗を練習する
車いすを安全に使うためには、操作方法や移乗動作の確認も大切です。
たとえば、
ブレーキをかける
フットレストを上げる
段差を越える
狭い場所で向きを変える
ベッドから車いすへ移る
トイレへ移る
車へ乗り降りする
といった動作です。
車いすを用意するだけでは、安全に使えるとは限りません。
本人と家族が、実際の生活場面で使い方を確認することが大切です。

自宅で気をつけたいポイント
■① 車いすが通れる動線を確認する
自宅で車いすを使う場合は、通路の幅や家具の配置を確認しましょう。
特に、
玄関
廊下
トイレ
洗面所
寝室
食卓まわり
は確認が必要です。
完全に車いす生活にしなくても、「疲れた時だけ使う」「移動距離が長い場所だけ使う」といった使い方もあります。
■② 玄関や段差を確認する
車いすを使う時に問題になりやすいのが段差です。
玄関、敷居、屋外への出入り、車への乗り降りなどを確認しましょう。
必要に応じて、スロープ、手すり、介助方法の確認が役立ちます。
■③ 家族だけで抱え込まない
車いすの選び方や使い方は、本人や家族だけで判断すると難しいことがあります。
体の状態、生活環境、介助する方の負担によって、合う車いすは変わります。
迷った時は、医師、リハビリ専門職、福祉用具専門相談員などに相談しましょう。
こんな時は専門家へ相談を
以下のような変化がある場合は、車いすや移動方法について相談しましょう。
外出後に強い疲労が残る
転倒やつまずきが増えた
長距離を歩けなくなった
病院や買い物で移動が大変
家族の付き添い負担が増えた
外出を控えるようになった
歩行器や杖だけでは不安
座っている姿勢が崩れやすい
車いすを使うと歩けなくなるのではと不安
どの車いすを選べばよいかわからない
早めに相談することで、歩く力を大切にしながら、安全に活動を続ける方法を考えやすくなります。
京都でリハビリを検討している方へ
エール神経リハビリセンター伏見では、神経難病、脳卒中後遺症、脊髄疾患の方を対象に、症状や生活環境に合わせたリハビリを行っています。
神経難病の方に対しては、
歩行状態の確認
疲労や転倒リスクの評価
車いすを使うタイミングの相談
歩行と車いすの使い分け
座位姿勢やシーティングの確認
移乗動作の練習
自宅や外出先での動線確認
ご家族への介助方法の提案
などを行います。
「まだ歩けるけれど外出が大変」
「車いすを使うタイミングがわからない」
「歩く力を保ちながら安全に外出したい」
「自分に合った移動方法を相談したい」
という方は、お気軽にご相談ください。
当院では【特別体験】も実施しています。
現在の歩行状態や生活で困っている場面を確認し、その方に合った移動方法やリハビリ内容を一緒に考えていきます。
よくある質問
Q. まだ歩けるのに車いすを使ってもよいですか?
A. はい。車いすは、歩けなくなってから使うものとは限りません。疲労を減らす、転倒を防ぐ、外出を続けるために、歩行と組み合わせて使うことがあります。
Q. 車いすを使うと歩けなくなりませんか?
A. 車いすを使ったから必ず歩けなくなるわけではありません。大切なのは、短距離は歩く、長距離は車いすを使うなど、状態に合わせて使い分けることです。
Q. 車いすはどのように選べばよいですか?
A. 体の大きさ、座る姿勢、使う場所、介助の有無、持ち運びやすさなどを確認して選びます。医師、リハビリ専門職、福祉用具専門相談員に相談することがおすすめです。
まとめ
神経難病で車いすを検討するタイミングは、
外出後の疲労が強い
転倒やつまずきが増えた
長距離歩行が大変
外出を控えるようになった
家族の介助負担が増えた
歩行器や杖だけでは不安
といった時です。
車いすは、
👉 歩くことをあきらめる道具ではありません
👉 疲労を減らすために役立ちます
👉 転倒予防につながります
👉 外出や社会参加を続ける助けになります
👉 歩行と組み合わせて使うことができます
👉 その人に合った選び方と使い方が大切です
神経難病では、「歩く力を保つこと」と「安全に生活を続けること」の両方が大切です。
車いすを上手に活用しながら、その人らしい生活を長く続けていきましょう。
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