家の廊下は歩けるのに、買い物へ行こうとすると足が止まる。外では急に疲れる。その違いは、気持ちの問題だけでは説明できません。
屋外には段差、傾斜、人の動き、休む場所までの距離など、室内と異なる条件があります。脳卒中後は、歩く速さだけでなく、目的地まで安全に移動できるかを確認することが大切です。
屋外では、歩く以外の課題も増える
屋内は床や動線が比較的一定で、壁や家具が近くにあります。一方、屋外では傾いた路面や小さな凹凸があり、同じ歩幅では通りにくい場所があります。
周囲の人や自転車を見ながら歩く、交差点で止まる、方向を変えるなど、注意の配分も必要です。脳卒中後の歩行評価では、こうした実環境の条件も確認するよう指針に示されています。[1]
不安が強いときに「家では歩けるのだから大丈夫」と励ますだけでは、必要な対策を見落とすことがあります。怖くなる場所と、そのときの身体の状態を具体的に共有しましょう。

外出前に距離・足元・休む場所を確認
行きたい場所までの往復距離、途中の段差、手すり、椅子やトイレの有無を調べます。行きだけ歩けても帰りに疲れる場合があるため、戻る手段も考えておきます。
靴の脱げやすさ、杖先の滑り、装具の当たり、荷物の持ち方も確認事項です。雨の日や混雑する時間を避けることも、外出の条件を整える工夫になります。
転びかけた経験や、片側の障害物に気づきにくいことがあれば、リハビリ担当者に伝えてください。視野や注意の問題を含め、歩行だけでは分からない評価が必要な場合があります。
練習は安全な場所で課題を分ける
屋外歩行に向けては、平らな場所を歩くことに加え、障害物や段差、方向転換など、困る条件を分けて練習します。脳卒中の指針でも、実環境の路面・距離・傾斜や、混雑時の注意などを含む評価が示されています。課題の高さや介助方法は専門家と決めましょう。[1]
例えば低い障害物をまたぐ場面では、まず療法士が支持物と足元を確認します。手前で安定して止まり、必要な支えを使って一方の足を越え、続く足を運びます。これは動作を理解するための説明例です。研究で定められた共通メニューではなく、高さや手順は個別に設定します。一人で階段や不安定な路面に挑戦しないでください。
自宅では、新しい難しい課題を増やすより、指導を受けている歩行を片づいた動線で行うことから確認します。歩きながら物を運ぶ、話すなどの追加課題は、独断で組み合わせません。

距離だけでなく、外出の目的から目標を立てる
「長く歩く」よりも、「近くの店で買い物をして帰る」「病院の入口から受付へ移動する」といった目標の方が、必要な条件を整理しやすくなります。
リハビリでは、歩行の持続、方向転換、足の引っかかり、立って待つ場面などを確認します。必要に応じて補助具や付き添いを使い、実際の動線へつなげます。
車いすや送迎を併用することも選択肢です。すべて歩くことを達成条件にせず、安全と本人が参加したい活動の両方を考えましょう。
外出を見直したいサイン
転倒・転びかけが増えた、同じ距離で急に疲れる、装具で傷ができる場合は、計画を見直して相談してください。胸痛や普段と異なる強い息苦しさでは、無理に歩いて帰らないでください。
突然の片側の脱力や言葉の異常など、脳卒中を疑う変化は119へ連絡します。いつもと違う変化を「運動不足」と決めつけないことが大切です。[2]
疾患と施設での相談については、脳卒中・片麻痺のリハビリ案内もご覧ください。
よくある質問
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参考文献・参考資料
- Intercollegiate Stroke Working Party. National Clinical Guideline for Stroke. 2023. Rehabilitation and recovery: motor recovery and physical effects of stroke.
- American Stroke Association. Stroke Symptoms and Warning Signs.
本記事は一般的な情報提供を目的としています。診断・治療・個別の運動方法や制度の適用は、医師・担当の専門職・相談窓口にご確認ください。








