脳卒中後の膝折れはなぜ起こる?歩行中の支え方とリハビリで確認すること

立った瞬間や一歩を踏み出したときに、麻痺側の膝がカクッと曲がると、歩くことが怖くなるかもしれません。脳卒中後の「膝折れ」は転倒につながることがあるため、まず安全を確保する必要があります。

膝折れの対策は、太ももの筋力トレーニングだけでは決まりません。膝への体重のかかり方、足首の動き、感覚、使っている装具などを一緒に確認し、原因に合う練習や支え方を選びます。

膝折れは、脚で身体を支える場面の困りごと

 

膝折れとは、立位や歩行で脚に体重がかかったときに、意図せず膝が曲がって支えにくくなる現象を指します。膝が反対方向に伸びすぎる「反張膝」とは区別して考えます。見た目が違えば、同じ対策をそのまま当てはめることはできません。

脳卒中後は、力の出し方、関節の動き、姿勢や感覚などに変化が生じる場合があります。筋力が関係することはありますが、膝だけを見て原因を決めると、必要な支援を見落とすことがあります。


膝だけでなく全体を確認(場面のイメージ。個別の運動手順や診断を示す図ではありません)

足首・感覚・体重のかけ方も確認する

 

リハビリの評価では、どちらの脚で、歩行のどの瞬間に、どのくらいの頻度で起きるかを確認します。立ち上がりだけなのか、歩く距離が長くなったときなのか、靴や装具を替えた後なのかも大切な情報です。

膝を伸ばす力に加えて、足首の位置や動かしやすさ、身体の傾き、足の接地、脚の位置を感じ取れるかを調べます。痛みがある場合は関節やけがの問題も確認します。これらは、家庭で危険な動きを再現して調べる内容ではありません。

一人で不安定な練習を続けない

 

膝が崩れそうな状態で片足立ちやバランスボードを使うことは避けます。「転ばずにできるか」を確かめるために支えを外す必要もありません。必要な介助、手すり、杖などを担当の専門職と相談し、安全な移動方法を優先してください。

最近転びかけた場合は、いつ、どこで、装具や杖を使っていたかを伝えます。安全に移動できないときは無理に歩行距離を増やさず、移動手段や介助方法を見直しましょう。


困った場面を相談へ(場面のイメージ。個別の運動手順や診断を示す図ではありません)

装具と練習は、評価に合わせて選ぶ

 

NICEの脳卒中リハビリ指針では、歩行中の足先の引っかかりや、立脚時の膝・足首の支えにくさなどがある場合に、短下肢装具を検討することが示されています。[1] 膝の問題でも、足首を含めた支援が関わる場合があります。

装具をつければ全員の膝折れが解消するわけではありません。種類、角度、靴との組み合わせ、装着方法を専門家が確認します。自己判断で外す、部品を調整する、他人の装具を使うことは避けてください。

練習では、支えのある条件で立つ、体重を移す、立ち上がる、歩くといった課題を、身体の状態に合わせて組み合わせます。回数や負荷を増やす前に、膝が支えられるか、痛みや疲労が増えないかを確認します。

新しく出た症状は医療機関で確認する

 

急に片側の手足が動きにくくなった、顔のゆがみや言葉の出にくさがあるなど、脳卒中を疑う症状が出たときは119番で救急を要請してください。[2] 以前からの麻痺がある方も、新しい症状をいつもの膝折れとして済ませないことが大切です。

膝の強い痛み・腫れ、転倒後に体重をかけられない状態なども、医療機関で確認が必要です。慢性的な膝折れは、主治医や担当のリハビリ専門職に相談し、身体と生活の両面から見直しましょう。

疾患と施設での相談内容は、脳卒中・片麻痺のリハビリ案内でも確認できます。

よくある質問

 

Q

太ももの筋トレをすれば膝折れは止まりますか?

A

筋力が関係する場合もありますが、感覚や足首、体重のかけ方なども関わります。評価を受けて練習内容を決めましょう。

Q

短下肢装具は足首用なのに膝にも関係しますか?

A

足首の位置や動きは脚で身体を支えるときの膝の働きにも関わります。装具の必要性や設定は、歩行を見て専門家が判断します。

Q

家で片足立ちをして確認してよいですか?

A

膝が崩れそうな方が、支えなしで試すことは避けてください。安全な評価方法を担当の専門職に相談しましょう。

 

短下肢装具はなぜ使う?目的と見直しの目安記事を読む →
京都で歩行リハビリを相談するには?脳卒中・パーキンソン病の評価と継続先の考え方記事を読む →

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参考文献・参考資料

 
  1. NICE. Stroke rehabilitation in adults. NG236. 2023.
  2. American Stroke Association. Stroke Symptoms and Warning Signs.

本記事は一般的な情報提供を目的としています。診断、治療、個別の練習方法や利用できる制度は、医師・担当の専門職・相談窓口にご確認ください。

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