「立ち上がるとフワッとする」
「夜中のトイレが増えた」
「ふらつきだけでなく、血圧や排尿の問題も気になる」
このような症状がある場合、**多系統萎縮症(MSA)**という病気が関係していることがあります。
多系統萎縮症は、体の動きに関わる神経だけでなく、血圧・排尿・発汗などを調整する自律神経にも影響が出やすい病気です。
そのため、単に「歩きにくい」「ふらつく」だけではなく、
- 立ちくらみ
- 排尿障害
- 夜間トイレ
- 便秘
- 汗をかきにくい
- 声や飲み込みの変化
- 睡眠中のいびきや無呼吸
など、生活のさまざまな場面で困りごとが出ることがあります。
この記事では、多系統萎縮症(MSA)の特徴や、生活で気をつけたいポイント、リハビリで大切な考え方についてわかりやすく解説します。
多系統萎縮症(MSA)とは?
多系統萎縮症(MSA:Multiple System Atrophy)は、小脳・自律神経・パーキンソン症状に関わる神経系など、複数の神経の働きに影響が出る進行性の神経疾患です。
以前は、症状の出方によって、
- シャイ・ドレーガー症候群
- オリーブ橋小脳萎縮症(OPCA)
- 線条体黒質変性症(SND)
などと呼ばれていましたが、現在ではこれらをまとめて**多系統萎縮症(MSA)**として考えられています。日本神経学会の診療ガイドラインでも、MSAの基本症候は「パーキンソニズム・自律神経障害・小脳性運動失調」とされています。
つまりMSAは、
ふらつきだけの病気ではなく、自律神経症状を伴いやすいことが大きな特徴です。
多系統萎縮症の主な病型
MSAは、目立つ症状によって大きく分けられることがあります。
■① MSA-C:小脳症状が目立つタイプ
MSA-Cは、小脳の働きに関係する症状が目立つタイプです。
主に、
- ふらつき
- まっすぐ歩きにくい
- 手足の動きがぎこちない
- ろれつが回りにくい
- バランスが取りにくい
などが見られます。
脊髄小脳変性症に近い症状が出るため、歩行やバランスの問題が中心に見えることがあります。
■② MSA-P:パーキンソン症状が目立つタイプ
MSA-Pは、パーキンソン症状が目立つタイプです。
主に、
- 動きが遅くなる
- 体がこわばる
- 歩き出しにくい
- 姿勢が前かがみになる
- 小刻み歩行になる
などが見られます。
パーキンソン病と似た症状が出ることがありますが、MSAでは自律神経症状を伴いやすく、パーキンソン病で使われる薬への反応が乏しいこともあるとされています。
■③ 自律神経症状が目立つタイプ
以前「シャイ・ドレーガー症候群」と呼ばれていたタイプでは、自律神経症状が目立つことがあります。
代表的には、
- 立ちくらみ
- 尿失禁
- 排尿しにくい
- 汗をかきにくい
- 睡眠時無呼吸
- いびき
などです。シャイ・ドレーガー症候群では代表的な自律神経障害として立ちくらみと尿失禁が挙げられています。
MSAで特に注意したい症状
■① 起立性低血圧による立ちくらみ
MSAで特に注意したいのが、起立性低血圧です。
これは、寝ている状態や座っている状態から立ち上がった時に、血圧がうまく調整できず、脳への血流が一時的に少なくなることで起こります。
症状としては、
- 立ち上がるとフワッとする
- 目の前が暗くなる
- 頭がぼーっとする
- ふらつく
- 倒れそうになる
- 失神する
などがあります。
特に注意したい場面は、
- 朝起きた直後
- トイレ後
- 入浴後
- 食後
- 長く立った後
- 暑い場所にいた後
です。
👉 MSAでは「立ち上がる動作そのもの」が転倒リスクになることがあります。
■② 排尿障害・夜間トイレ
MSAでは、排尿に関する症状が出ることがあります。
例えば、
- 尿が近い
- 急にトイレに行きたくなる
- 夜中に何度もトイレへ行く
- 尿が出にくい
- 残尿感がある
- 失禁がある
などです。
尿失禁や残尿などの排尿障害は重要な自律神経症状として扱われています。
夜間トイレが増えると、
- 暗い中で歩く
- 寝起きでふらつく
- 急いでトイレへ行く
- 血圧が不安定な状態で動く
ため、転倒につながりやすくなります。
■③ 汗をかきにくい・暑さに弱い
MSAでは、自律神経の影響により、汗をかきにくくなることがあります。
汗は体温を調節するために大切な働きです。
汗をかきにくいと、
- 体に熱がこもりやすい
- 暑さに気づきにくい
- 脱水や熱中症につながりやすい
ことがあります。
特に夏場や入浴後は注意が必要です。
■④ 声・飲み込み・睡眠中の呼吸の変化
MSAでは、声や飲み込み、睡眠中の呼吸に関する症状が出ることもあります。
例えば、
- 声が小さくなる
- 声がかすれる
- 話しにくい
- 食事中にむせる
- 飲み込みにくい
- いびきが強くなる
- 睡眠時無呼吸がある
などです。
MSAでは睡眠時喘鳴や睡眠時無呼吸も診断上の関連症状として挙げられています。
👉 むせや呼吸の変化は、自己判断せず早めに医療機関へ相談することが大切です。

脊髄小脳変性症との違い
脊髄小脳変性症では、主に
- ふらつき
- 手足の動かしにくさ
- ろれつの回りにくさ
など、小脳症状が中心になることがあります。
一方でMSAでは、それに加えて、
- 起立性低血圧
- 排尿障害
- 発汗異常
- 睡眠時の呼吸問題
- パーキンソン症状
などが目立つ場合があります。
つまりMSAは、
「ふらつき+自律神経症状」が大きな特徴です。
この違いを知っておくことで、生活の中で注意すべき場面も変わってきます。

日常生活で困りやすいこと
■① 立ち上がる場面が不安になる
MSAでは、立ち上がる時に血圧が下がりやすくなることがあります。
そのため、
- ベッドから起きる
- 椅子から立つ
- トイレから立つ
- 入浴後に立つ
といった場面で、ふらつきやすくなります。
対策としては、
- すぐ立たない
- 一度座る
- 数秒待つ
- ゆっくり立つ
という流れが大切です。
■② トイレ動作が負担になりやすい
排尿障害や夜間トイレがあると、トイレ動作そのものが負担になります。
特に夜間は、
- 足元が暗い
- 眠気がある
- 急ぎやすい
- 血圧が不安定
という条件が重なります。
足元灯や手すり、寝室からトイレまでの動線整理が大切です。
■③ 暑さや入浴で体調が変わりやすい
MSAでは、自律神経症状により、暑さや入浴後の体調変化に注意が必要です。
特に、
- 長湯
- 熱いお湯
- 脱衣所との温度差
- 入浴後すぐに立つ
などは、ふらつきにつながることがあります。
入浴後はすぐに歩き出さず、座って休んでから移動しましょう。
■④ 外出時に急な体調変化が起こることがある
外出中は、
- 気温
- 人混み
- 立ちっぱなし
- トイレの不安
- 長距離歩行
などが重なりやすくなります。
そのため、外出する時は、
- 休憩場所を決めておく
- トイレの場所を確認する
- 水分を持つ
- 杖や歩行器を検討する
- 体調が悪い日は無理しない
ことが大切です。
リハビリで大切なこと
MSAのリハビリでは、単に筋力やバランスだけを見るのではなく、自律神経症状をふまえて安全に動くことが大切です。
■① 立ちくらみを考慮した動作練習
MSAでは、立ち上がりや歩き始めのふらつきに注意が必要です。
リハビリでは、
- ベッドからの起き上がり
- 座位から立位への移行
- 立った後に安定するまで待つ練習
- トイレ後の立ち上がり
- 入浴後の移動
など、実際の生活場面を想定して練習します。
■② 血圧変動に配慮した練習
起立性低血圧がある場合は、運動中や立ち上がり時の血圧変動に注意が必要です。
必要に応じて、
- 運動前後の体調確認
- こまめな休憩
- 急な姿勢変化を避ける
- 長時間立ち続けない
などを意識します。
リハビリ中も「できるだけ頑張る」ではなく、安全に継続できる量を調整することが大切です。
■③ 歩行・バランス練習
ふらつきや歩行不安がある場合は、
- 歩幅
- 方向転換
- 立ち止まり
- 段差
- 杖や歩行器の使用
- 屋外歩行を想定した練習
を行います。
MSAでは、小脳症状とパーキンソン症状のどちらが目立つかによって、歩き方の特徴が異なることがあります。
そのため、症状に合わせた歩行練習が大切です。
■④ トイレ・入浴など生活動作の練習
MSAでは、排尿障害や立ちくらみの影響で、トイレ・入浴場面の安全対策が特に重要になります。
リハビリでは、
- トイレでの立ち座り
- 方向転換
- 手すりの使い方
- 入浴時の移動
- 脱衣所でのふらつき対策
などを確認します。
■⑤ 環境調整と福祉用具の検討
MSAでは、症状の変化に合わせて環境を見直すことも大切です。
例えば、
- 手すり
- 足元灯
- 滑りにくい靴
- 杖
- 歩行器
- シャワーチェア
- ポータブルトイレ
などを検討する場合があります。
大切なのは、我慢して動くことではなく、安全に生活を続けるための工夫を取り入れることです。
自宅で気をつけたいポイント
■① 起き上がり・立ち上がりはゆっくり
急に起きる、急に立つ動作は避けましょう。
特に朝は、体がまだ血圧調整しにくいことがあります。
■② 夜間トイレの環境を整える
- 足元灯を使う
- 通路の物を片づける
- 滑りにくい履物にする
- 必要に応じて手すりを使う
など、夜間の移動を安全にすることが大切です。
■③ 入浴後はすぐ動かない
入浴後は血圧が変動しやすく、ふらつくことがあります。
脱衣所で一度座ってから移動しましょう。
■④ 暑さ対策をする
汗をかきにくい場合や体温調節が苦手な場合は、室温管理が重要です。
エアコンや室温計を使い、無理に暑さを我慢しないようにしましょう。
■⑤ むせ・声の変化は早めに相談する
食事中のむせや声の変化が増えた場合は、早めに医療機関や専門職へ相談しましょう。
こんな時は専門家に相談を
以下のような変化がある場合は、早めに相談しましょう。
- 立ちくらみが強くなった
- 失神しそうになる
- 夜間トイレでふらつく
- 尿が出にくい・残尿感がある
- むせが増えた
- 声がかすれる
- 歩行中の転倒が増えた
- 入浴後にふらつく
- 杖や歩行器が合っているかわからない
MSAは症状が複数の領域にまたがるため、医師・リハビリ専門職・看護師・介護職などと連携しながら対応することが大切です。
京都でリハビリを検討している方へ
エール神経リハビリセンター伏見では、
- 多系統萎縮症によるふらつき
- 起立性低血圧を考慮した動作練習
- 歩行不安
- トイレ・入浴動作の不安
- 転倒予防
- 環境調整の相談
などに対して、専門的なリハビリを行っています。
「立ちくらみがあり動くのが不安」
「夜間トイレで転びそうになる」
「自分に合ったリハビリを知りたい」
という方は、お気軽にご相談ください。
よくある質問
Q. 多系統萎縮症は脊髄小脳変性症と同じですか?
A. 近い症状が出ることはありますが、MSAでは自律神経症状が目立ちやすい点が特徴です。ふらつきだけでなく、立ちくらみ・排尿障害・発汗異常などにも注意が必要です。
Q. 立ちくらみがある場合、運動しても大丈夫ですか?
A. 状態によります。急な立ち上がりや長時間の立位は注意が必要です。医師やリハビリ専門職と相談しながら、安全な方法で行いましょう。
Q. 夜間トイレが多い場合、どうすればいいですか?
A. 水分を極端に控えるのではなく、トイレまでの環境を整えることが大切です。足元灯や手すり、滑りにくい履物などを見直しましょう。排尿症状が強い場合は医師に相談してください。
まとめ
多系統萎縮症(MSA)は、ふらつきや歩行障害だけでなく、
- 起立性低血圧
- 排尿障害
- 発汗異常
- 睡眠中の呼吸の問題
- パーキンソン症状
- 声や飲み込みの変化
など、自律神経を含む複数の症状が出やすい病気です。
そのためリハビリでは、
👉 バランス練習だけでなく
👉 立ちくらみへの対策
👉 トイレ・入浴動作の安全確認
👉 暑さや疲労への配慮
👉 環境調整
が大切になります。
「ふらつき」だけで見ず、生活全体の困りごとに合わせて対策していきましょう。
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