「この手でもう一度、生活を楽しむために」
――日常生活の中で“手を使う”ことの大切さ――
脳卒中のあと、手に麻痺が残ると
「時間がかかるし、つい反対の手だけで済ませてしまう」
そんなお気持ちになる方がとても多いです。
しかし実は、“使いにくい手を、あえて日常生活の中で使うこと” が、手のリハビリではとても大切なポイントになります。
「使わない」ことが、もっと動きにくくしてしまう
人間の体は「よく使うところほど、脳が一生懸命働く」という性質があります。
痛みや麻痺、不安などから手をあまり使わない生活が続くと、脳はその手を“あまり重要ではない”と判断し、ますます動きの指令を出さなくなってしまいます。
「うまくできないから使わない」
↓「使わないから、さらにうまくできなくなる」
という悪循環が起こってしまうのです。
リハビリは「特別な時間」だけでなく、毎日の生活そのもの
病院やリハビリ施設での訓練時間はもちろん大切です。
ですが、本当に大きな差がつくのは 自宅や施設での“ふだんの過ごし方” です。
例えば、こんな場面はすべて立派な“手のリハビリ”になります。
ドアノブに手を添えて開ける
洗濯機のフタに手を添えて上げる
掃除機やコロコロを両手で持って動かす
机を拭くときに、麻痺側の手で雑巾を持ってみる
服をたたむときに、麻痺側の手で布を押さえる
タオルを両手で持って顔を拭く
水道のレバーを麻痺側の手で押してみる
ペンやスプーンを持つときに、麻痺側の手を添えて支える など
最初から全部を麻痺側の手だけで行う必要はありません。

「手を添えるだけ」「途中の一部分だけ」でも、脳にはしっかり刺激が入ります。
大事なのは「自分にとって意味のある動き」を目標にすること
ただ“運動として手を動かす”だけよりも、
「自分で湯のみを持ってお茶を飲みたい」
「家族におかずのお皿を配ってあげたい」
「掃除や洗濯を少しでも自分の力でやってみたい」
といった “自分の生活につながる動き” を目標にした方が、頑張る力が長続きします。
ポイントは、
場面をできるだけ具体的にすること
例)「料理をする」ではなく「フライパンを両手で持ってコンロに置く」など
少し頑張れば届きそうなレベルに分けること
例)最初は「持つだけ・添えるだけ」からスタート
家族やセラピストと一緒に優先順位を決めること
例)「まずは身の回りのこと(洗顔・食事)」「次に家事」など
そうすることで、ただの“訓練”ではなく、
「自分の暮らしを取り戻すための動き」 になります。
エール神経リハビリセンターの取り組み
日常の「できた!」を“見える化”して、やる気につなげる
とはいえ、毎日コツコツ続けるのは簡単ではありません。
そこでエール神経リハビリセンターでは、日常生活で麻痺側の手を使った場面を、デジタルツールを使って“見える化”する工夫を行っています。
「ドアを左手で開けた」
「洗濯機のフタを両手で持ち上げた」
「机を左手で拭いた」
「服をたたむときに手を添えた」
「タオルを両手で持って顔を拭いた」 など
お一人おひとりの生活に合わせて、このような“具体的な動き”を一緒に相談し、
タブレット上の一覧にしておきます。
実際にできたら、その項目をタップして「達成済み」にすることで、
どの動きを、いつ行ったのかが一目でわかる
今日一日の「できたことリスト」が増えていく
「こんなに頑張っているんだ」とご本人もご家族も実感できる
といったメリットがあります。
セラピストはその記録を見ながら、
次に挑戦する課題の提案
難しかった動きの工夫
ご家族への声かけのポイント
などを一緒に考えていきます。
「ただやるだけ」ではなく、「できたことが蓄積されていく感覚」を持っていただくことが、継続の大きな力になります。
不安や怖さがある方へ
「また失敗したらどうしよう」
「物を落として割ってしまったら…」
そんな不安は、とても自然な感情です。
だからこそ、最初は
割れないコップや軽い物から始める
中身を少なめにして練習する
必ず誰かにそばで見守ってもらう
など、“失敗しても大丈夫な環境づくり” を一緒に行います。
おわりに:手を使うことは、「生活」と「自信」を取り戻す一歩
麻痺のある手を使うことは、決して楽な道ではありません。
時間もかかりますし、うまくいかない日もあると思います。
それでも、日常生活の中で
少しずつ手を出してみる
その一回一回を記録して、振り返る
この積み重ねが、機能の改善だけでなく、「自分でできた」という自信につながっていきます。
完璧を目指す必要はありません。
まずは、「昨日より、ほんの少しだけ麻痺側の手を使ってみる」 ことから始めてみませんか。
エール神経リハビリセンターは、
皆さまの「この手でもう一度、生活を楽しみたい」という思いに寄りそいながら、
日常生活に根ざしたリハビリと、その頑張りの“見える化”でしっかりとサポートしていきます。
京都のエール神経リハビリセンターでは、病気によって今後の生活が不安なあなたに寄り添います。オーダーメイドで適格な運動プランの提案や訓練を提供!
京都での自費リハビリが、あなたの未来の一歩になります。
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