「最近、後ろに倒れそうになる」
「歩いている時にバランスを崩しやすい」
「下を見るのが苦手になってきた」
このような症状がある場合、**進行性核上性麻痺(PSP)**という病気が関係していることがあります。
進行性核上性麻痺は、体の動きや姿勢、目の動き、飲み込み、話し方などに影響が出る神経の病気です。
特に特徴的なのが、
- 後ろに転びやすい
- 目を上下に動かしにくい
- 歩き出しにくい
- 体が硬くなる
- 話しにくい
- 飲み込みにくい
といった症状です。
この記事では、進行性核上性麻痺の特徴や生活で困りやすいこと、リハビリで大切なポイントについてわかりやすく解説します。
進行性核上性麻痺(PSP)とは?
進行性核上性麻痺は、脳の神経細胞の働きが少しずつ低下することで、姿勢や歩行、目の動き、飲み込みなどに影響が出る病気です。
進行性核上性麻痺の治療について、根本的な治療薬はまだなく、薬物療法は一時的な効果にとどまる場合があり、筋力維持・バランス訓練・関節拘縮予防・嚥下訓練・発声訓練などのリハビリが行われると説明されています。
PSPはパーキンソン病と似た症状が出ることがありますが、
早い時期から転倒しやすいことや、
目の動かしにくさが出やすいことが特徴です。
進行性核上性麻痺で起こりやすい症状
■① 後ろに転びやすい
進行性核上性麻痺で特に注意したいのが、後方への転倒です。
歩いている時だけでなく、
- 立ち上がった時
- 方向転換した時
- 立ったまま後ろを振り返った時
- 椅子に座ろうとした時
などに、後ろへバランスを崩すことがあります。
本人は普通に立っているつもりでも、姿勢の調整が難しくなり、急に後ろへ倒れてしまうことがあります。
👉 PSPでは「転ばないように気をつける」だけでなく、転びやすい場面をあらかじめ減らす工夫が大切です。
■② 目を上下に動かしにくい
PSPでは、目の動きに問題が出ることがあります。
特に、
- 下を向きにくい
- 足元が見えにくい
- 段差に気づきにくい
- 食事中にお皿が見にくい
- 本やスマホが見にくい
といった困りごとにつながることがあります。
下を見る力が弱くなると、足元の段差や障害物に気づきにくくなり、転倒リスクにもつながります。
■③ 歩き出しにくい・止まりにくい
進行性核上性麻痺では、歩き始めや方向転換が難しくなることがあります。
例えば、
- 最初の一歩が出にくい
- 小刻みに歩く
- 急に止まりにくい
- 曲がる時にふらつく
- 狭い場所で歩きにくい
などです。
特に、廊下・トイレ・玄関など、狭い場所で方向転換する場面では注意が必要です。
■④ 首や体が硬くなる
PSPでは、首や体幹が硬くなりやすいことがあります。
そのため、
- 首が動かしにくい
- 姿勢が反りやすい
- 体をひねりにくい
- 寝返りがしにくい
- 椅子から立ちにくい
といった状態につながることがあります。
首や体幹が硬くなると、バランスを崩した時に姿勢を立て直しにくくなります。
■⑤ 話しにくい・飲み込みにくい
進行性核上性麻痺では、話すことや飲み込むことに影響が出る場合があります。
例えば、
- 声が小さい
- 言葉がはっきりしにくい
- 話すスピードが変わる
- 食事中にむせる
- 水分でむせる
- 飲み込みに時間がかかる
などです。
進行性核上性麻痺では嚥下訓練や発声訓練などのリハビリが行われるとされています。
👉 むせが増えている場合は、自己判断せず医療機関や専門職に相談しましょう。
日常生活で困りやすいこと
■① 椅子に座る時に後ろへ倒れそうになる
PSPでは、立つ時だけでなく、座る時にも注意が必要です。
椅子へ座ろうとして、
- 距離感がつかみにくい
- 後ろへ倒れ込む
- 座面にうまく合わせられない
- 勢いよく座ってしまう
ことがあります。
椅子の位置を確認し、手すりや肘掛けを使いながら、ゆっくり座ることが大切です。
■② 足元が見えにくく段差でつまずきやすい
下を向きにくい症状があると、足元の確認が難しくなります。
特に、
- 玄関の段差
- 階段
- マット
- 電気コード
- 敷居
- 外の小さな段差
には注意が必要です。
家の中でも、足元に物を置かないことが大切です。
■③ トイレや浴室で転倒しやすい
トイレや浴室は、方向転換や立ち座りが多い場所です。
さらに、
- 狭い
- 滑りやすい
- 手すりが少ない
- 急ぎやすい
という条件が重なります。
PSPでは急な動きや方向転換で転びやすいため、トイレ・浴室の環境調整はとても重要です。
■④ 食事中にむせやすい
飲み込みにくさがあると、食事中のむせが増えることがあります。
- 水分でむせる
- 食べ物が口に残る
- 食事に時間がかかる
- 咳き込むことが増える
といった場合は注意しましょう。
誤嚥や肺炎につながる可能性もあるため、早めの相談が大切です。難病情報センターでも、PSPでは転倒や誤嚥に関連する合併症が多く、肺炎や転倒による外傷などに注意が必要とされています。
リハビリで大切なこと
進行性核上性麻痺のリハビリでは、単に筋力をつけるだけでなく、
転倒予防・目線の使い方・生活動作・飲み込みを含めて考えることが大切です。
■① 後方転倒を防ぐ練習
PSPでは、後ろに倒れやすいことが大きな特徴です。
リハビリでは、
- 立った姿勢の確認
- 重心の位置を整える練習
- 立ち上がり・座り込みの練習
- 後ろへ倒れそうになった時の対応
- 手すりや歩行器の使い方
などを行います。
👉 「バランスを鍛える」だけでなく、転びやすい動作を安全な方法に変えることが重要です。
■② 歩行・方向転換の練習
歩行練習では、
- 歩き出し
- 方向転換
- 立ち止まり
- 段差
- 狭い場所での移動
- 杖や歩行器の使用
などを確認します。
特に方向転換では転倒しやすいため、急に向きを変えず、ゆっくり小さく分けて方向を変える練習が大切です。
■③ 首・体幹の柔軟性を保つ
首や体が硬くなると、姿勢の修正が難しくなります。
リハビリでは、
- 首まわりのストレッチ
- 背中・体幹の柔軟性
- 寝返り動作
- 座位姿勢の確認
などを行います。
難病情報センターの概要でも、頚部・体幹のストレッチ運動やバランス訓練、言語訓練、嚥下訓練などが治療・リハビリとして挙げられています。
■④ 生活動作の練習
PSPでは、生活動作の中で転倒しやすい場面を確認することが大切です。
例えば、
- 椅子への座り方
- トイレの立ち座り
- ベッドからの起き上がり
- 玄関での靴の着脱
- 浴室への出入り
- 食事姿勢
などです。
実際の生活場面に近い動きを練習することで、安全に動きやすくなります。
■⑤ 嚥下・発声へのリハビリ
話しにくさや飲み込みにくさがある場合は、言語聴覚士などによる評価や練習が大切です。
- 声を出す練習
- 発音の練習
- 飲み込みの練習
- 食事姿勢の調整
- 食事形態の相談
などを行う場合があります。
むせがある場合は、無理に自己流で続けず、専門職に相談しましょう。
■⑥ 環境調整
PSPでは、転倒予防のために環境を整えることが特に大切です。
- 床に物を置かない
- マットを減らす
- 手すりをつける
- 足元灯を使う
- 椅子は肘掛け付きにする
- ベッドやトイレ周りを安全にする
- 歩行器や車椅子を検討する
進行性核上性麻痺では、転倒や誤嚥による合併症が生活機能を悪化させることがあるため、日常生活の中で予防していくことが大切です。

自宅で気をつけたいポイント
■① 後ろ向きに歩かない
後ろへ下がる動作は転倒リスクが高くなります。
できるだけ後ろ向き移動を避け、方向を変えてから前向きに動くようにしましょう。
■② 急に方向転換しない
急に振り返る、急に向きを変える動作は危険です。
方向を変える時は、足を少しずつ動かして、ゆっくり体の向きを変えましょう。
■③ 椅子に座る時は必ず位置を確認する
座る前に、
- 椅子が後ろにあるか
- 座面の位置
- 肘掛けの位置
- 足元の障害物
を確認しましょう。
座る時は、勢いよく座らず、手を使ってゆっくり座ることが大切です。
■④ 足元を見やすい環境にする
下を向きにくい場合は、足元の見えにくさを環境で補うことが大切です。
- 床に物を置かない
- 段差を目立たせる
- 明るくする
- マットを減らす
- コードをまとめる
などを意識しましょう。
■⑤ むせが増えたら早めに相談する
食事中のむせや咳き込みが増えた場合は、誤嚥の可能性があります。
「少しむせるだけ」と思わず、早めに医師や専門職に相談しましょう。
よくある質問
Q. 進行性核上性麻痺はパーキンソン病と同じですか?
A. 似た症状が出ることはありますが、同じ病気ではありません。PSPでは早い時期から転倒しやすいことや、目の動かしにくさが出やすいことが特徴です。
Q. なぜ後ろに転びやすいのですか?
A. 姿勢の調整やバランス反応が難しくなるため、後ろへ重心が崩れた時に立て直しにくくなることがあります。
Q. リハビリでは何をしますか?
A. 転倒予防、歩行・方向転換、立ち座り、首や体幹の柔軟性、嚥下・発声、環境調整など、症状や生活に合わせて行います。
まとめ
進行性核上性麻痺(PSP)は、
- 後ろに転びやすい
- 目を上下に動かしにくい
- 歩き出しや方向転換が苦手
- 首や体が硬くなる
- 話しにくい
- 飲み込みにくい
といった症状が出やすい病気です。
特に大切なのは、
👉 後方転倒を防ぐこと
👉 足元を見やすい環境にすること
👉 椅子・トイレ・浴室での動作を安全にすること
👉 むせや飲み込みの変化に早めに気づくこと
です。
PSPでは、病気の特徴に合わせて、生活動作や環境を見直すことが大切です。
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