脳卒中や脊髄損傷のあと、「麻痺した手(足)が思うように動かない」だけでなく、気づけば麻痺側をほとんど使わなくなっていることがあります。これは単なる怠けや気持ちの問題ではなく、神経リハビリでよく知られる現象で、学習性不使用(Learned non-use)と呼ばれます。
学習性不使用は、回復を妨げる大きな要因になり得ます。逆にいえば、仕組みを理解して適切に介入すれば、麻痺側の使用量が増え、機能の改善が期待できる重要なポイントでもあります。
学習性不使用が起こる仕組み(メカニズム)
1) 失敗体験の蓄積で「使わない方が安全」と脳が学ぶ
麻痺した手で物を持とうとして落としたり、うまく動かせず時間ばかりかかったり…。こうした失敗や不快な体験が繰り返されると、脳は効率の良い方法を選びます。
結果として、
「健常側の手でやった方が早い」
「麻痺側は危ないから使わない」
という行動が強化され、無意識に麻痺側を避けるようになります。
2) 使わないことで神経回路が縮小する「負の可塑性」
脳には、使った回路が強くなり、使わない回路が弱くなる性質(可塑性)があります。麻痺側を使わない期間が続くと、その手足に関わる神経ネットワークが働く機会を失い、さらに動かしにくくなることがあります。
このように、「使わない → ますます使えない」の悪循環が起こるのが、学習性不使用の怖さです。
3) 恐怖・不安など心理的要因が不使用を加速させる
麻痺側を使うことには、
失敗する怖さ
落とす・こぼす不安
痛みやこわばりへの恐怖
などが伴いやすいです。さらに周囲のサポートが少ないと、日常生活で麻痺側を使う機会が減り、結果として学習性不使用が進行してしまいます。
学習性不使用を克服するリハビリ対策
学習性不使用は、「根性で使え」では改善しません。ポイントは、使える状況をつくり、成功体験を積み、脳に再学習させることです。
1) 制約誘導運動療法(CIMT):麻痺側を“使わざるを得ない”状況にする
代表的な方法が制約誘導運動療法(CIMT)です。健常側の手の使用を一時的に制約し、麻痺側を集中的に使うことで、
麻痺側の使用頻度を増やす
「麻痺側でもできる」を学習し直す
ことを狙います。
※CIMTは適応条件や実施方法に工夫が必要なので、専門職の評価のもとで行うのが安心です。
2) ポジティブな体験(成功体験)を意図的に増やす
学習性不使用は「失敗体験の学習」でもあるため、対策はその逆です。つまり、**成功体験を“設計する”**こと。
たとえば、
まずは落としにくい物・持ちやすい形から
できる動きだけを切り出して練習する
時間制限をなくして焦りを減らす
など、「できた」を増やす工夫で、脳に**“この手も使える”**という認識を戻していきます。
3) 環境調整:日常生活の中で麻痺側を使うチャンスを増やす
リハビリ室でできても、生活で使わなければ再び不使用が進みます。そこで重要なのが環境の調整です。
例としては、
麻痺側に物を置き、自然に手が伸びる配置にする
両手で行う動作(タオルたたみ、洗顔、服の整理)を生活に組み込む
家族が「手伝いすぎない」関わり方に変える
など、麻痺側を“使いやすい生活”にしていくことが大切です。
学習性不使用は「気づけば進む」からこそ早めの対策が鍵
学習性不使用は、脳卒中後・脊髄損傷後の回復過程で起こりやすく、放っておくと負の可塑性によって「ますます使えない」方向へ進みやすい課題です。
一方で、
CIMTなどで使用機会を作る
成功体験を増やす
環境を整えて生活の中で使う
といったアプローチで、改善が期待できます。
もし「麻痺そのもの」だけでなく、麻痺側を避けるクセがついている感じがあれば、それは学習性不使用のサインかもしれません。リハビリでは、機能訓練だけでなく、“使い方の再学習”まで含めて組み立てることが回復の近道になります。
エール神経リハビリセンターは、
皆さまの「この手でもう一度、生活を楽しみたい」という思いに寄りそいながら、
日常生活に根ざしたリハビリと、その頑張りの“見える化”でしっかりとサポートしていきます。
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